eat ro ekyu

投稿日:2022-04-08

©︎igarashi hiro

会場となるギャラリーの空間構成を一変させ、

その最適な環境について再考するための一時的な実験の場を作り出す

久保田智広個展「eat ro ekyu」

会期:2022年4月15日(金) – 5月1日(日)

本展「eat ro ekyu」は、若手現代アーティストの久保田智広にとって初の個展となります。

久保田はインスタレーションやパフォーマンスなど複数のメディアを横断しながら、物事の価値基準や選別基準をテーマに制作を行っています。近年の制作では個人的な状況や実際にあった出来事をベースに、共同体によるモノの所有や、個人から人類全体にまでおよぶ広範な負債に対しての向き合い方について探る作品を展開してきました。

こうした久保田の実践の背景には、作品制作を通して自らをとりまく環境の改善を目指す「対症療法的」な態度が通底しています。それは新たにモノを生み出し続けることに対して作家が感じる限界や、私たちを取り巻く社会的なシステムに対する疑問への彼自身による一つの応答であると同時に、既存のモノの価値の読み替えや、そこからオルタナティヴな価値を生み出していく行為であるとも言えます。

本展はそのような作家の制作の延長となる実践を展開します。久保田はギャラリー空間に普段置かれているモノ—作品や備品、什器など—を会場の外部へと運び出し、その構成を一変させます。それは通常のギャラリーの機能を阻害する行為であると同時に、その空間としての機能の抽象化でもあります。そうすることで久保田は、普段前景化されることのないギャラリーという場の物理的/システム的な裏側を可視化し、空間の最適な環境について再考するために一時的な実験の場を作り出すことを試みます。またそうした実践は、かつてホワイトキューブの空間をはじめ、美術の世界を規定する社会経済的な枠組みへと批判の意識を向けた制度批判のアーティストの手つきを思わせます。

このように本展はEUKARYOTEという会場を一つのケーススタディとして、ギャラリーという空間の別のあり方、ひいては一つの有機的なシステムを新たに創出することを目指します。こうした作家による現代美術の可能性をめぐる実験的な試みをぜひご高覧下さい。

【プロフィール】

〈アーティスト〉

久保田智広 | Tomohiro Kubota

1992年東京都生まれ。2020年に東京藝術大学大学院美術研究科版画専攻を修了後、現在は東京都、神奈川県を中心に活動を行う。インスタレーションやパフォーマンスなど複数のメディアを横断しながら、物事の価値基準や選別基準にまつわる制作を行う。近年の制作では、久保田は個人的な状況や実際にあった出来事をベースに、個人から人類全体にまでおよぶ広範な負債に対しての向き合い方について探る作品を展開する。彼は誰もが抱える身近なモノから美術館に代表される公共財まで、それらの所有にまつわる集団的な判断のプロセスを可視化させると同時に、共同体の未来における財産/負担という普遍的な問題をさまざまな射程から考察する。代表作に、東京大学の食堂に飾られていた宇佐美圭司の絵画が生協により無断で破棄された事件を題材にした《Decision in the Hospice》(2020)がある。主な展示に、「遊園地都市の進化-スクワット作戦会議 in 渋谷」(RELABEL Shinsen/東京、2020)、「GRAPHICA CREATIVA 2019 “PUBLISH OR PERISH”」(Jyväskylä Art Museum/ヘルシンキ、2020)など。

【略歴】

1992年 東京都生まれ

2017年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業

2020年 東京藝術大学大学院美術研究科版画専攻修了

現在東京都、神奈川県を拠点

https://tomohirokubota.myportfolio.com

〈主な作品発表・受賞歴〉

グループ展

2020年「遊園地都市の進化-スクワット作戦会議 in 渋谷」RELABEL Shinsen、東京

2019年「GRAPHICA CREATIVA 2019 “PUBLISH OR PERISH” 」Jyväskylä Art Museum、ヘルシンキ

2019年「practice_01: 線を引く」 EUKARYOTE、東京

受賞歴

2018年 石橋財団奨学生長期派遣員

2017年 東京藝術大学卒業制作最優秀賞大学美術館買上げ

〈キュレーター〉

岩田智哉 | Tomoya Iwata

1995年 愛知県生まれ

2019年 東京外国語大学言語文化学部卒業

2022年 東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科修了予定

キュレーション史やキュレーターについて研究する一方、広く人間を超えた他者との理解可能性/不可能性について展覧会実践を通して模索している。また国際展でのアシスタント経験も豊富。2022年4月より、キュレトリアル・スペースであるThe 5th Floorの代表理事/ディレクター。

主な企画展覧会として「Alternarratives -ありえたかもしれない物語-」(オンライン, 2020)、「attunement」(東京, 2020)。

                                               

【開催概要】

タイトル  :eat ro ekyu

アーティスト:久保田智広

キュレーター:岩田智哉

会期    :2022年4月15日(金) – 5月1日(日)

会場    :EUKARYOTE

       東京都渋谷区神宮前3-41-3

       (東京メトロ銀座線 外苑前駅 出口徒歩10分)

営業時間:12:00-19:00

閉廊日 :月曜日

協賛  :エブリチャンス合同会社、株式会社Bizres

※新型ウイルス感染予防のためオープニングレセプションは行いません

                                      

【問い合わせ】

EUKARYOTE

3-41-3, Jingumae, Shibuya-ku, Tokyo, 150-0001, Japan

contact@eukaryote.jp

http://eukaryote.com

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