My Archive
投稿日:2024-03-23
私のアーカイブ
小学1年生のときに絵画教室で「家族でお風呂に入っている絵」を描かされたのですが、どうしてもオヘソが恥ずかしくて描けず、先生や母親に絵の才能は
ない烙印を押された私ですが、40歳を超えてから何故か青天の霹靂、天から何かが落ちてきました。
箱根のある老舗旅館の読書スペースの壁に掛かっていた、ある幼い少女の絵に、何故か魂が吸い込まれるような感覚を覚えました。
当時、その絵を眺めているうちにどうしても手に入れたくなって、旅館に頼み込んだのですが、お知り合いのおばあさんが、孫を慕って描いた絵だったらしく、
想い出の作品なので人手に渡すのは難しいと言われ、翌朝、名残惜しく旅館を後にしました。
ところが、1か月程経ったときに、若旦那より手紙が来て、あの作品は難しいが、同じおばあさんが描いた孫の絵がいくつかあるのでわざわざ自宅に送ってくださいました。
嬉しかった!おばあさんは、その後しばらくして他界されたと、次に旅館を訪ずれたときに聞きました。
おばあさん、若旦那、本当にありがとうございました。
今も自分の書斎に飾っており、観るたびに感謝の念でいっぱいです。
もう1つは、父が生前描いていた水彩画と油絵です。
定年後の趣味として、自分の部屋で密かに描いていたようです。
父が逝った後、母が家の至るところに父親の絵を飾り始めたこと、また、私が実家に帰る度に絵の配置が変わっていたことを思い出します。
昨年、その母も亡くなり、ついに実家を引き払うことになりましたが、遺品として改めて父親のたくさんの作品を床に並べたとき、「親父と母の個展」を観るようでした。
一方、息子の私はというと、父親のDNAは全く引継いでいないようで、趣味のダイビングの後に、水中で発見した珍しい魚や珊瑚を三色ペンで落書きすることぐらいしかできないレベルです。
でも、そんな私でさえ、最近、絵を観て、心も体も吸い込まれるような瞬間におそわれるときがあります。
額縁の中にいる自分を感じたり、心の音が聴こえたり。
自分が人物画の被写体そのものになって怒ったり笑ったりも。
静画は動かず平べったいものですが、立体的というかリアルな空気に包まれることがあります。