アートがヒトと地球にできること

投稿日:2024-06-01

~2024年7月(#2)~

 

<歴史的考察>「戦争とアート」

 

アートは、歴史を辿れば、ルネサンス時代以降、貴族、僧侶、いわゆるパトロン富裕層を中心に、クローズされてきた世界で展開され、それが故の慣行と風潮、政治利用、政治批判描写への弾圧等、お金と権力による「歪み」と常に隣り合わせであった。しかしその一方で、だからこそ、作家も業界も維持発展してきた皮肉な変遷があるのも事実である。

最終的には、政治や体制が崩壊と再建を何度繰返そうが、アートは決して死なない、それどころか、断層的な世の中の変化をエネルギー源に、より自浄作用で勢力的かつ独創的に大きく進化し続けてきた。

西洋美術でいうと、宗教表現に端を発したアートだと認識しているが、15世紀以降のボッティチェリ、ダ・ヴィンチのルネサンス時代、16世紀のレンブラント、フェルメールのバロック時代、その後、18世紀の新古典主義やロマン主義を経て、19世紀には、最も馴染みのある、写実派(神話・聖書の「持物」を恣意的に描写しないマネ等)、印象派(サロンの評価基準に不満で、貧しい作家だけで共同個展を始めたモネ、ルノアール、セザンヌ等)、象徴派(聖書のストーリーを変造した作品サロメで有名なモロー等)、ポスト印象主義(セザンヌ、ゴッホ、ゴーガン、ロートレック等)、その後、20世紀にかけて、ムンク、ピカソ(キュリズム)という変遷になる。500年に亘る歴史をあまりにラフに流してしまうが、その間、スペイン王国誕生、ルター宗教改革、イギリス清教徒革命、フランスルイ14世即位、フランス革命。ナポレオン即位、イギリスヴィクトリア女王即位、普仏戦争、第一次世界大戦、ドイツナチス政権、その後第二次世界大戦に至る。西洋社会だけみても、政治のエゴが生んだ戦争の繰返しである。

いかなる時代も、アーティストという生業の人間は、戦争・政治とは次元を違えてアートを追及する「怪人」=「魂人」であり、体制に屈することなく、あるいは無頓着に、作家魂の赴くままに作品制作に没頭した。だからこそ、特権階級による評価ではなく、迎合のない絶対的評価による、アート・オリエンテッドな世界が斬新かつピュアな形で創造され続けてきたのだろう。

そして、21世紀を四半世紀経過した今、将来振返れば歴史の教科書に載る有事が地球上で起こっている。価値観とともにアートそのものの革命が起こり得る節目になる予感さえ感じる。

 

 

 

~(2024年6月)(#1)~

 

<はじめに> 「人間の魂」が「アート」に対峙する瞬間

私は2020に弊社エブリチャンス合同会社を立ち上げ、主に若手アーティストのアート活動支援に携わってきましたが、私事、実は20235月に、人生最大の転機となる病症(間質性肺炎)が発覚し、2か月の入院生活となりました。クリティカル・リスクは排除できましたが、退院後において完治する類のものではなく、以降、難病認定を受ける立場で日常生活を過ごすことと相成りました

元々1983年に大学卒業後、会社設立まで40年近く、金融業界で身を挺して役員までは頑張りましたが、最後、あまりにもつまらない事態に出くわし、周りの人的環境・組織体質に失望し、人生の時間を費やすのが勿体なくなり、寸分の未練もなく自らの地位を返上し退職しました。その時既に、今のアート業界に身を委ねることを決めていた気がします。本能で潜在的右脳で生きる自分に戻りたくなったのかもしれません

現在の日本人誰しも、特に企業人の現役世代と呼ばれる年齢層は、競争原理が前提の資本主義社会で生き抜くために逞しく頑張るわけですが、そこには、頑張れば頑張るほど、得も言われぬ利害関係、相対比較に晒されるフィールドで戦わざるを得ないというジレンマが待ち受けています。ところが散々疲弊しているうちに一定の年数が経過し現役も終盤、ふと気づくと、台風一過の如く、日々のストレスは郷愁の如く、俗人要素がすべて剥れポツリと佇む自分の存在に気付くわけです

ヒトは、相対評価のジレンマから免れ、自分という絶対基準しか存在しない環境あるい心境に置かれた瞬間に、今まで見えていなかった本質が見えてくる、あるいは見ようという感性が湧き出てくるものです。これが「終活」ならぬ「終感」とでも呼ぶべきものでしょうか。

ちょうどその頃、バリ島で観た1枚のコンテンポラリーアートに心が吸い込まれたことを覚えています。その後、今の業界でアーティストほか様々な方々と出逢い、病の急襲あり、必然的に「アート」という世界の真髄を知りたくなりました

テーマは、「アートと人間の関係」あるいは「人間にとってのアートの存在とは?」になります

アーティストが絵に魂を入れるといいますが、観る側も絵に魂を入れることができると私は思っています。何かのきっかけで、魂に響くくらい「アート」に向き合う瞬間が来るのではないでしょうか

もちろん私自身、真実にたどり着くには、まだまだ時間と経験が必要ですが、今現在、五里霧中状態、しかし、先に細い光が薄ぼんやりと見えているような・・・

これから、毎月1~2回程度、全部で20回前後になると思いますが、「アート」というものを、自分なりに様々な切り口で、全く自由気ままな発想で、エッセイ的に語ってみたいと思っています。どうぞお付き合いくださいませ。

これからの予告編・・・大きなテーマは4つを予定しています。

1.歴史的考察

2.アートと社会の関係

3.エブリチャンスについて

4.未来考察