EXHIBITION:(((((,

【企画概要】
 この度駒込倉庫では、アーティスト久保田智広、キュレーター原田美緒との共同キュレーション展「(((((,」を開催いたします。
 様々なバックグラウンドを持つ新進気鋭のアーティスト6名による、「あたりまえ」を軽やかな形で分解する試みです。是非ご高覧ください。

展示タイトル: (((((,
企画、キュレーション
      :久保田智広、原田美緒
参加作家  :アリウェン、うらあやか、大橋鉄郎、倉敷安耶、パク・サンヒョン、檜皮一彦
会期    :2022年2月26日(土)〜3月20日(日) 〔17日間〕
会場    :駒込倉庫 (https://www.komagomesoko.com)
開館時間  :13:00〜19:00
休館日   :月, 火曜日
協力    :駒込倉庫、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京、エブリチャンス

【展覧会ステートメント】
「(((((,」は〈かっことじない〉と便宜的に読む。この造語は、「開かれた」「結論を出さない」という意味を持つ。整然と並ぶ「かっこ」に、一旦「読点」が打たれているこのタイトルは、立ち止まって観客と一緒に「あたりまえ」を考えてみる本展示の振る舞いそのものと言ってもよい。
 様々なバックグラウンドを持つアーティスト6名は、「あたりまえ」とされる社会規範を捉え直すことを試みる。韓国出身のパク・サンヒョンは、異邦人でありクィア当事者である彼自身の置かれた状況を、内容と形式の両側面から彫刻的アプローチで考察する。北海道在住の大橋鉄郎は現代における情報との関わりを考察する作風で知られているが、その作品群の一部には作家自身の性に対する嫌悪が動機として潜在している。檜皮一彦は「破壊と創造」と「不自由」というテーマで新作インスタレーションを制作する。「不自由な鑑賞体験」を課すことと、「破壊と創造」の理不尽さの両輪で、鑑賞者に鮮烈な体験をもたらすだろう。チリ出身のアリウェンは、トランス女性として生きていく中で関わることになった、ある家族をめぐる詩的な写真を朗読と組み合わせたインスタレーションで提示する。
自身と他者の融合の欲求を制作にて昇華する倉敷安耶は、人類のもつどうしようもない差異を一つのものに取り込む展望の一端を提示する。うらあやかは、観客との協働によって成立させる作品を多く手がけてきた。時として非合理的な彼女の振る舞いは、効率的で合理性を強要する現代社会への避難所にもなりうる。
 ここに参加する各作家は、ジェンダー、セクシュアリティ、国籍、身体、そして自らが参画している現代アートそれ自体にもアプローチする。自身にも、他人にも押し付けている「あたりまえ」を分解した先には何があるのだろうか?

【展示の見どころ】

気鋭の新進作家6名による新作を中心とした展覧会
岡本太郎賞を受賞した檜皮一彦、WATOWA ART AWARD 2021でグランプリを受賞した倉敷安耶、昨年金沢で個展を開催したうらあやか、北海道を拠点とする大橋鉄郎、今までチリを拠点に活動してきたアリウェン、韓国出身で現在は東京で作家活動を行うパク・サンヒョンといった様々なバックグラウンドを持つ、活躍が目覚ましいアーティスト6名の作品を取り上げます。また、ほとんどの作家がこの展覧会のために制作した新作を発表します。

ジェンダー、人種、身体…近年注目されているテーマを扱った作品群
近年注目度が高まっているジェンダー、人種、身体といったテーマにアプローチします。
作家自身に由来する、これらのテーマに関連した作品を通じて、本展覧会は、この世界を軽やかに生き抜いていくための提案を行います。

映像、絵画、立体、パフォーマンス 多彩な表現手段が交差する空間
本展覧会では映像、絵画、立体といった表現形式だけでなく、パフォーマンスや鑑賞者が参加可能なインタラクティブな作品も展開されます。主体/客体がはっきりと線引きされた従来の鑑賞空間とは異なるプレイフルな空間をお楽しみください。

【企画、キュレーション】

久保田智広 Tomohiro Kubota
アーティスト、美術修士(MFA)
2020年に東京藝術大学大学院美術研究科版画専攻を修了後、現在は東京都、神奈川県を中心に活動を行う。インスタレーションやパフォーマンスなど複数のメディアを横断しながら、物事の価値基準や選別基準にまつわる制作を行う。近年の制作では、久保田は主にモノを「捨てる」という日常的な行為を通して、個人的な状況や実際にあった出来事をベースに作品を展開する。代表作に、東京大学の食堂に飾られていた宇佐美圭司の絵画が生協により無断で破棄された事件を題材にした《Decision inthe Hospice》(2020) がある。
Webサイト: https://tomohirokubota.myportfolio.com

原田美緒 Mio Harada
1995 年東京都生まれ。同地で活動。東京藝術大学大学院修士課程修了見込み(国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻キュレーション領域長谷川祐子研究室)。東京大学文学部思想文化学科美学芸術学専修課程卒業(学士:文学)。ロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)交換留学生(2017-2018年)。専門は、身体、フェミニズム、及びパフォーミング・アーツのキュレーション。パフォーマーとしての活動も行う。
出版の分野では、展覧会カタログの編集を多く行う一方で、自身でもzineを制作している。キュレーターとしての主な展示に「Alter-narratives―ありえたかもしれない物語―」 (2020 年、オンラインで開催)、パフォーマーとしての主な参加作品に『孵化器・ドアの翅』(2020 年、ゲーテ・インスティトゥート)がある。
 
【出品作家】(五十音順)
アリウェンaliwen
うらあやかAyaka Ura
大橋鉄郎Tetsuro Ohashi
倉敷安耶Aya Kurashiki
パクサンヒョンSanghyun Park
檜皮一彦Kazuhiko Hiwa
以上計6名

アリウェン aliwen

《Star of Freedom”》フィルム写真、スライド、スライドプロジェクター、語られる詩 サイズ可変 2021-2022

1993年生まれ、チリ出身。ノンバイナリーのトランス女性であり、活動家、アーティスト、キュレーター、研究者、作家として活動している。
彼女は「芸術的実践」「アナーキーな自律性」「日常の脱植民地化」「性と性の分岐」の間を行き来し、これらを流動的に交差させる芸術的、記録的研究のさまざまなプロセスを活性化させる実践を行う。また、チリ大学、パラシオ・ラ・モネダ文化センター(サンティアゴ)、ポストナチュラル研究所(マドリッド)などの教育機関で、批評理論、ソーシャル・エンゲージメント・アート、パフォーマンスに関する講義を担当する一方で、A*Desk(バルセロナ)、Artishock(サンチアゴ)、Caja Negra(ブエノスアイレス)など、さまざまなアート専門媒体に寄稿を行う。彼女の最初の著書”Barricade Criticism. Body, Writing and Visuality in Contemporary Chile”は、2021年11月にブルックリンとサンティアゴを拠点とする編集社Sangría Editoraから刊行された。

うらあやか Ayaka Ura

《メタモルフォーセスなお店番:おどる墓石のための即興(虫をたからせる/石びっちり布/息のウィキ(ペディア)/ちぎれたミミズ、ほか)》
パフォーマンス 2020

1992 年神奈川県生まれ。2015 年武蔵野美術大学油絵学科卒業。相反する物事を反転若しくは攪拌する装置としての作品を目指す。観客との協働によって成立させる参加型のパフォーマンスおよびそのデザインを主なメディアとして制作を行う。
近年は自殺以外の方法によって思弁的に自分の生に触るワークショップ「おどる墓石」の連作に取り組む。また、都賀めぐみと共に female artists meeting を行う。主な個展に 2019 年「私はそれをダンスの素子と名付ける」(広島芸術センター、広島)。主なグループ展に 2019 年「TERATOTERA2019 -選択の不自由 -」(東京)など。2019 年より CSLAB 管理人。
HP→https://urayaka.jimdofree.com

大橋鉄郎 Tetsuro Ohashi

「ピース」シリーズ インクジェットプリント出力、iPad、Procreate 100cm × 100cm 2021

1994年北海道札幌市生まれ。open-air_classroom(https://open-air-classroom.org)のメンバーとして活動。
出来事や物事、知識や事件に対して表層を撫でるように見ているような現在のイメージの受け取り方に着目し作品を制作している。近年では、写真に写っている物を紙を用いて立体化する作品「3Dモデル」や、ピースをしている女性を描く「ピースシリーズ」を制作している。主な展覧会に、2020 年「第 8回札幌 500m 美術館賞 入選展」(500m 美術館 / 札幌)、2019 年「いえい、頑張っていこうよ」(saloncojica/札幌)、2019年「あれを見た、それを聞いた。そして触れた。」(ギャラリー門馬 / 札幌)、2018 年「アートプラネッツ 2018」(プラニスホール / 札幌)。
HP→https://tetsuro-ohashi.com/

倉敷安耶 Aya Kurashiki

《My late grandma’s house.》鏡にシンナー転写 サイズ可変 2020

1993 年兵庫県生まれ。2018 年京都造形芸術大学大学院修了。 2020 年東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻修了。公益財団法人佐藤国際文化育英財団 第26期奨学生。公益財団法人クマ財団第3期奨学生。現在は東京を拠点に活動。
平面作品、パフォーマンス、インスタレーションなど複数のメディアを取り扱い、外部との繋がりを軸に他者との密接なコミュニケーションや共存の模索、またあるいは融合などを試みる。
主な活動に2020年入選「シェル美術賞」国立新美術館(東京)、2021年 個展「3rd Mural A~yaKurashiki Solo exhibition」BnA_WALL(東京)、2021年 個展「そこに詩はない。それは詩ではない。」myheirloom(東京)2021年グランプリ受賞「WATOWA ART AWARD」elephant STUDIO(東京)など。
HP→http://aya-kurashiki.com/

パク・サンヒョン Sanghyun Park

《噴水》紙にペン H29.7 x W10cm 2022

1991年韓国ソウル生まれ。個人の歴史と、社会や土地との相即不離な関係を一つの風景として捉え、形ある「モノ」に移す取り組みを行っている。彫刻、映像、インスタレーション、ドローイングなど、多様なメディアを用いることでより素早く身軽な表現の可能性を目指し、都度その風景を新たに構成することを試みる。主な展示に “人間臭さを勝ち取るための実践” – Alt_Medium (新宿)2021, “Nomadic Commitment” – New Space PA (原宿)2021, “Home Sweet Home” – Gallery_ooojh (ソウル, 韓国)2021, “Alter-narratives” (オンライン)2020などがある。
HP→https://sanghyunpark.studio.site/6

檜皮一彦 Kazuhiko Hiwa

《hiwadrome type re[in-carnation]》ミクストメディア サイズ可変 2021

大阪府生まれ。京都造形芸術大学大学院芸術研究科芸術専攻修了。
《hiwadrome》なるコアコンセプトのもとに、自身も使用する車椅子や身体性をテーマとしたインスタレーション作品を手掛ける。また、パブリックへの介入「play」を行い、様々な境界や関係性を問い直すムーブメント、映像作品などの制作も行う。近年の展覧会に「第 22 回岡本太郎現代芸術賞展 ( 川崎
市岡本太郎美術館 / 2019)」「TOKYO2021 un/real engine ―― 慰霊のエンジニアリング (TODABUILDING / 2019)」「Kanon:檜皮 一彦 + 檜皮 しよ子 ( 岡本太郎記念館 / 2020)」などがある。主な受賞歴に、2018 年 Art Award Tokyo Marunouchi 2018 グランプリ、2019 年第 22 回岡本太郎現代芸術賞、2020 年POCORART Vol.9 中村政人賞がある。

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